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読書流域、流通センター

Kindleで本を読みアマゾンインスタントビデオで映画をみてMP3をアマゾンから購入するアマゾンの犬の備忘録です

映画「ヤクザと憲法」を見てきました

映画

みてきました。すごかったです。すごかったので1年ほど寝かせてたはてなブログを叩き起こしました。はてなブログは寝かせておくとコクが増しておいしくなるんですね、生活の知恵です。

映画『ヤクザと憲法』公式サイト

 

 

内容はヤクザ密着ドキュメンタリー、と書くとなんか有り体に思えますがいやいや、この中身のドキュメンタリーはたぶん空前絶後。映画自体は100分ぐらいの長さなんですが、そのバックにある数年にも渡る取材が垣間見える傑作です。

ストーリー立てのようなものがない、悪く言えば不親切。さらっと歴史的経緯が解説されるのみで映像のどの部分をみて、どう解釈するかは観劇者に多くを委ねています。

特筆すべきは映像の情報量。あちらからこちらに親切に伝えることはありませんが、大量の取材テープから選別したであろうカットには意味深なものが多かったです。「"シノギ"のアガリを入れるサーティワンアイスクリームのビニール袋」「事務所から外を映す監視カメラを一瞬横切る、ランドセルを背負った女子小学生」「会長が懇意にしている店の、外側からのカット」「一瞬だけ映る、ゾロ目ナンバーの自家用車」……大半は間違いなく編集側が意図して選んだカットであり、自分も意図を拾えてないものも多くあるかなと思います。

 

タイトル通り、本作は暴対法によるヤクザ、及びその周辺の関係者の現状に迫ったものですが、ヤクザそのものを美化したものにはなっていません。シノギが"野球賭博"であることを示唆されたり、覚せい剤取引と思われる現場に同行していたり、下っ端の部屋住みの青年に対してドアの向こうで怒号が飛ぶシーンがあったり……

中でも自分が緊張したのは、部屋住みの青年が奥の部屋に連れ込まれたときに中にカメラを持って入ろうとしたクルーに「調子の乗るんじゃねえ」と、少し前に度量の広い男として描写されていた構成員の男から(それほど強い勢いではないですが)罵声が飛んだシーン。

体感的にはまるで観劇者に飛んできたようであるのに加え、すでに長期の取材を重ねておりある程度信頼関係を築いている彼らでもそうした緊張状態に陥る、という距離感覚。ビクッとしました。ビビりました。

 

ヤクザパートに加えて重要な柱になっているのが山口組の顧問弁護士、山ノ内氏のパート。この辺はネタバレしないで映画館で味わったほうがとっても嫌な気持ちになれるかと思うので割愛しますが、「ヤクザも金が無いから、依頼受けても見積もってもキャンセルが続く」という旨などいろいろ世知辛さを感じるエピソードがいっぱいあり。

 

タイトル自体はどうもタイトルが決まった時期が集団安全保障関係でいろいろ揉めてたときらしく、「憲法」はちょっとニュアンス的に強すぎるかなあという印象を受けましたが間違いなくヤクザ・ドキュメンタリー(ある意味異世界ドキュメンタリーものかもしれない)として一級品の傑作でした。

 

次はマイク・オールドフィールドの話でもしたい。